ロンドン・ストリート物語(1)Kingly Street

最近一人旅をすることが多くなった。

昔は旅と言えばロケだから、大荷物で最低でも3人連れくらいが相場だった。その当時はエキセス(荷物の超過料金)を航空会社のカウンターでどれだけ値下げ交渉できるかが勝負だったりもした。それは今でも変わらないというか、そういう取材もあるけれど、一人旅の確率も随分増えた。要するに一人で現地に行って、そこでカメラクルーを調達したり、そこに滞在して編集したり・・・。「そこ」は時にはベオグラードだったりサラエボだったり広島だったりロンドンだったりする。

ここ10年ぐらいは仕事の関係で「ロンドン一人旅」が一番多かった。

最初のうちはお決まりの観光コース(ウェストミンスター寺院や大英博物館など)も試してみたが、そういう場所は一回か二回行けば十分だ。それから後は自分の気に入った店や食堂を地図上にマークするようになった。初めそれは地図上の「点」に過ぎなかったが、次第に「線」になっていった。気に入った店の近くには不思議ともう一軒くらい気になる店があったりするものだ。

こうしてだんだん「お気に入りのストリート」が増えていくようになった。
その中のいくつかを紹介していきたい。

まずは一番お気に入りの通りから。

Kingly Street 

キングリー・ストリートはロンドンの銀座通りとも言えるオックスフォード・ストリートの近くにある。
オックスフォード・サーカスからピカデリー・サーカスに向かうリージェント・ストリートと平行に走っている通りだ。リージェント・ストリートにはHamleys(http://www.hamleys.com/)という250年以上の歴史を誇る老舗のおもちゃやさんがあるが、ちょうどその裏手にあたる。

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この通りが気に入っているのは、何と言っても、最高に渋いブルースバーがあるからだ。その名は Ain't nothing but という。ブルースファンならば思わずにやりとしてしまうネーミングだ。Ain't nothing but のあとには blues が来るに決まっているからだ。つまりここは Ain't nothing but blues bar というわけだ。

Ain't nothing but
Kingly street 20
http://www.aintnothinbut.co.uk/

kingly03.jpgkingly04.jpg






















最初にこのブルースバーに来た時は住所を見ながらたどり着いた。エイミー・ワインハウスもしょっちゅう来ていたという有名な店だ。そこで観たのは Rollo Markee という白人ブルースマン。ブルースハープとボーカル、それにギター、ドラムス、なんと今時ウッドベース!という編成でいい味を出していた。好きな人はどうぞ。
http://www.youtube.com/watch?v=_6wPM1DJulM

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そして次のお勧めは隣のラーメン屋だ。ラーメン瀬戸という店。

Ramen Seto
Kingly Street 19
http://www.london-eating.co.uk/3074.htm

パリと違ってロンドンにはラーメン屋通りなどはない。各地に点在するラーメン屋の位置は大体頭に入っているが(笑)ここはその中でもダントツに美味いのだ。ラーメンだけでなく餃子や中華丼やカツカレーもすこぶる美味しい。実は以前から仕事の合間に昼食をとりにこの店にはよく来たものだ。だがその頃は隣にこんなイカすブルースバーがあるとは知らなかった。ブルースバーに行くようになって初めて「あれ?ここはこのラーメン屋の隣だったのか?」と気がついた。点が線になった瞬間だった。

そして二つの店が隣り合っていることに気がついたその日から、
僕はこの通りが大好きになった。

キングリー・ストリートには他にも有名なパブや焼き肉やもあります。
皆さんもロンドンにいらっしゃる時はぜひ行ってみてください!

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