飲み食い処

横浜の美味しいお店をご紹介します。かれこれ40年以上通っているお店ですが、ずっと変わらない味。私は横浜に行くと、中華街よりもこの2店どちらかに足がむいてしまいます・・・。

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横浜馬車道の「勝烈庵」は、横浜に住んでいた我が家のお気に入り。横浜に行ったら、やっぱりここに行かないと~(^_-)
変わらぬハマの味!美味しかった~(^O^)g

定番は、勝烈定食。ヒレカツです。ソースは他のお店では絶対に味わえないオリジナル!たっぷりかけて召し上がってください。

 

201112_12_11_mansyuens.jpg鶴見駅前にある「満州園」は、子供の頃からなじんだ味。飲んで帰ってきた父が、夜11時頃に子供たちを連れて行きました。今はビルの地下にありますが、昔は駅の正面で夜遅くまで営業し、いつもたくさんのお客さんで賑わっていました。今も変わらず、多くの人に愛されているお店です。
久しぶりに行くとやっぱりタンメン一丁~(^_-)
オミヤでヤキソバとギョウザ。
ヤキソバは柔らかい炒めたタイプで、これにラーユかけるとめちゃうまい(o^~^o)
餃子はこの店のシグニチャー!ビール片手に餃子をつまむ・・・最高です。

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最近、日本に帰ると浅草(蔵前)に泊まることが多い。都営大江戸線と浅草線、そしてメトロ銀座線の駅が近くて便利だ。なんと都営線を使えば成田にも羽田にも1本で行けるのだ。白山にも近いしすごい便利。仕事の都合によってはやむを得ず赤坂に泊まることもあるが、できれば浅草にいたいと思う。そう思わせる理由のひとつがホッピー通りの存在だ。暮れなずむ浅草の町。スカイツリーがオレンジ色に染まる頃雷門を目指す。夜でも明るい仲店を直進し伝法院通りを左折する。すると見えて来るのがここホッピー通りである。

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ホッピー通りに一歩足を踏み入れると黄色い声が誘惑の合唱を始める。
「お兄さんホッピーありますよ」「お兄さん安いですよ」「お兄さん今すいてますよ」・・・
聖アントニウスでもなければこの誘惑に打ち勝つのは難しい。だがよく見るとどの店もガラガラ。
のどの渇きにも耐えてもう少しまっすぐ進む。するとやがて見えて来るのが「鈴芳」の看板と提灯だ。ここだ。ここが噂の生ホッピーを飲ませる店「鈴芳」だ。鈴木の鈴に芳雄チャンの芳。やっと着いた。

店は中にカウンター席、それを取り囲むようにテーブル席が外の通りへと広がっている。夏場は外の方が人気があるが、冬でもテーブルを囲んでわいわいやりたいグループは外で飲む。ビニールのカーテンが寒さを和らげてくれる。
                                                                  
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ここの魅力は何といっても写真の生ホッピー。左側がクロ、右側がシロ。ハーフ&ハーフも頼める。普通はビンで出て来るホッピーだが、この店では焼酎と生ホッピーをブレンドしたものがジョッキで出て来る。ナカを追加しながらちびちびやるわけにはいかないが、味わいはなかなか良い。一杯500円だったかな?

で、さらにうれしいのが充実のおつまみだ。タケノコ、こんにゃく、ごぼうのきんぴらなどがカウンターのガラスケースごしに見える。カウンターに陣取ってこれを順番に食べるのが何とも楽しい。特に日本の味に飢えている時にはたまらない。成田から直接ここに来たいくらいだ。

この店は韓国系の姉妹がやっていると聞く。時々おばさん(お姉さんか)がバイトの子を叱ったりしている声が平気で聞こえて来る。「あんたね〜何やってんのよ。ちゃんと来なさいよ。まったく・・・」と容赦が無い。客にも無用な愛想は使わない。でもそれがかえって気持ちが良い。

昔ながらの「ニッポンの飲み屋」の伝統がここに受け継がれているような気がする。
夏でも冬でもお勧めの店である。
ウォードー・ストリートと読むらしい。初めのうちは読み方に苦労した。ドイツ語風に発音すればヴァルドア・ストリートになる。そもそもロンドンには普通じゃない読み方が多くある。Leicester Squareがなぜレスター・スクエアになるのか、Gloucester Roadがなぜグロスター・ロードになるのか合点が行かない。元々人名だからと説明されてもなんとなくすっきりしない。でも、まあこの通りは、どうやらウォードー・ストリートというらしい。

ウォードー・ストリートはSOHOのど真ん中を南北に貫く通りだ。
なかなかSOHOから出られないこのシリーズだが、こうなったら行く所まで行くしかない。(笑)

この通りは一言で言えば「音楽通り」。もう少し詳しく言えば「ポップ・ミュージック通り」もしくは「ロック・ミュージック通り」ということになるだろうか。ここにはかつて「マーキー」や「フラミンゴ・クラブ」といったライブハウスがあった。古くは50年代から60年代70年代80年代までUKロックとポップスの発信地だった。ビートルズ、ストーンズ、ジミ・ヘン、ヤードバーズ、ピンク・フロイド、クリーム、ザ・フー、キング・クリムゾン、フリー、T・レックス、クイーン、デビッド・ボウィー、ポリス、U2などなどがここを根城にしたり熱いステージを繰り広げたりしたという。

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今は無きこれらのクラブに代わってこの通りには現在もおしゃれなカフェやレストランが立ち並ぶ。新しいロッククラブもきっとあるのだろうが、残念ながらまだそこまで散策が進んでいない。でもこの通りには懐かしさと親しみが交錯する。それは10年以上に渡って、仕事場として何度もここに足を運んだからだ。この通りにはクラブだけではなく多くのレコーディング・スタジオや編集スタジオがある。特に僕がよく通ったのは117番地の地下にあったジェミナイという録音スタジオ。残念ながら去年クローズしてしまったが、そのおかげでさらに伝説的なスタジオで仕事をする機会に恵まれた。

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そのスタジオはトライデント・スタジオ。ウォードー・ストリートを117番地よりもさらに北へ数ブロック進んだ右側にセイント・アンズ・コートという路地がある。狭いけれど街頭に花を飾ってあるとてもおしゃれな路地だ。ここにある青い扉がそのスタジオの入り口だ。トライデントという名前にどれだけの人が反応するか僕には知る由もない。だがこのスタジオの由来を聞いたら誰もが「なるほど」と思うかもしれない。

ここは1968年7月ビートルズの「ヘイ・ジュード」が録音されたスタジオだ。そのあらましはこうだ。当時アップルレコードを設立したビートルズは新しいアルバム「ザ・ビートルズ」(ホワイトアルバム)を制作中だった。ちょうどその頃、英国で初めてドルビーシステムを備えた8トラックの録音が可能な音楽スタジオが開業した。それがこのトライデントだった。ちなみにアビーロード・スタジオはまだ4トラックを使っていた。

最新の録音機材を使いたいと考えたのはポール・マッカートニーだ。実は「ヘイジュード」はスタジオ機材の互換性などの面からミックスダウンの段階であまり良い結果は得られなかった。それでもポールはトライデントの雰囲気から何から全てが気に入ってここを良く使った。そしてポールはアップルレコードが送り出す新人女性歌手のレコーディングをここトライデント・スタジオで行った。タイトルは「Those were the days」。メリー・ホプキンの「悲しき天使」の誕生だった。1968年8月にリリースされたこの曲は全英1位全米2位のミリオンセラーとなった。

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英国音楽界の「老舗」となったトライデント・スタジオは、今も元気に仕事を続けている。日々生み出される作品がどんな運命を辿るかは「神のみぞ知る」だが、ヒットした作品に関しては上記の写真のようにレコードジャケットとレコード盤が額に入れて飾ってある。週に1日(たしか木曜日)には10ポンドでガイディング・ツアーも催されている。ロンドンに滞在する機会があったら一度訪れることを勧めたい。きっとそれぞれの世代にとって忘れられない音楽との再会があるだろう。

今回もSOHOのストリートについて書く。

・・・と書き始めてふと思った。そもそもSOHOってどこからどこまでなのか? 別にロンドン市の正式な記述を調べた訳ではないが、ネットで色々見た結果、おおむね次の様に認識するのが一般的だという結論に達した。

北はオックスフォード・ストリート、南はシャフツベリー・アベニュー。
西はリージェント・ストリート、東はチャリングクロス・ロード。
この4本の通りに囲まれた地区がSOHO地区・・・という認識でどうだろうか?

ただこうなるとシャフツベリー・アベニューの南側にあるチャイナ・タウンはSOHOではなくなる。「SOHOのチャイナタウンでメシ喰った」という記述は「誤り」となる。でも僕はそれでいいと思っている。チャイナタウンはチャイナタウンとしての輝かしい独立性を保っている。SOHOとは明らかに文化圏として異なる。だから別々に考える方がしっくり来るのだ。

・・・というわけで今回はSOHOのバーウィック・ストリート。
ここはキングリー、オールドコンプトンに続いて、僕がロンドンで3番目に好きな通りである。
その理由は、感動もののレコード屋(CDではない)があるからだ。

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その名も"Sister Ray"。ぱっと見、Sisterという店だと思うが、よく見るとSisterの後にRayと書いてある。この店はれっきとしたレコード屋である。しつこいようだがCDでも中古でもない。ちゃんとした新譜のレコードを売っている。それが何よりもうれしいのだ。

レコードが72回転の頃はエボナイトという物質で出来ていた。だが70年代に僕らが親しんだ33回転のレコードは塩化ビニール製だ。だからロンドンではビニール(Vinyl)として売られている。普通に考えればそれは中古レコードのことだろう。だがここでは違う。なんと新譜が存在するのだ!

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上の写真を見て欲しい。これはつい最近シスター・レイに行った時に僕が買ったLPだ。1970年にリリースされたローリング・ストーンズのライブ。中古ではない。なんと2003年製の新譜だ。リマスター版というシールが貼ってある。つまり「リマスター」した上で再プレスしたれっきとした新譜のレコードなのだ。一体これでペイするのかどうかふと心配にもなるが、それは企業が考えればいいことなので忘れることにした。

僕らはかつて、このようなレコードをカセットテープに録音して友人たちに回し、それぞれのパートを練習してから集まって、自分たちのバンドで演奏した。当時は金銭上の理由から自分で買えないレコードもたくさんあった。それから40年・・・できることならもう一度あのレコードが欲しいと思う日もある。その夢を叶えてくれたのがこの店だった。

考えてみて欲しい。かつて欲しかったけれど買えなかったレコードがここにある。それも中古ではなく新譜だ。手に取って眺める。購入して自宅に持ち帰る。プラスチックの封を切る。バージンのレコードをターンテーブルに載せる。針を落とす。音楽が溢れる。真新しいレコードだから雑音は全く無い。何といううれしい瞬間だろう・・・。それ以来ロンドンに行くたびに、僕は時間がある限りこのバーウィック・ストリートを歩き、Sister Rayに立ち寄るようにしている。

音楽をレコードで聴くかCDで聴くかはその人の選ぶ「聴き方」による。誰もが自分で心地よいと思える聴き方を選択すれば良い。最近亡くなったスティーブ・ジョブズには悪いが、誰もが音楽をコンピュータで聴きたいと思っている訳ではないし、誰もが音楽を1曲150円でitunesで購入したいと思っている訳でもない。おそらくitunesの対極に位置するのがこのSister Ray なのだろう。そして僕はitunes よりも、ここで実際に手に取って十分吟味してから手に入れるレコードの方が好きなのである。

london3berwick05.jpglondon3berwick06.jpgのサムネール画像






















話をバーウィック・ストリートに戻そう。

この通りが注目されているのは"Sister Ray"のためだけではない。ここはロンドンでも有数のファッションの発信地でもある。ファッションと言ってもそれは服飾には限らない。上の写真はスター・ジュウェラーズというアクセサリー屋だ。だがこの店にはひと味違うおもむきがある。

ショーウィンドウをのぞくとそこではガイコツが笑っている。
何かと思えば、これは電話機である。ガイコツの中央にタテに受話器が置かれている。そのガイコツはすべて宝石のようなガラス細工で飾られている。電話機という概念を根底から否定する商品がそこにある。

CDの時代にレコード、普通では考えられないガイコツの電話機・・・。つまりこの通りは常識では考えられないことをあえて提示する「芸術通り」と考えられるだろう。

これは現実なのだろうか?というグラッとする感覚。
これこそがロンドンのストリートが持つ底知れない魅力なのかもしれない。



何となく始めてみたロンドン・ストリート物語。

別にストリートの歴史を語るようなたいそうなものではないけれど、来年のオリンピックでロンドンを訪れたりした時には、何かの役に立つかもしれません。(笑)
とりあえず2回目は僕が2番目に好きな通りを紹介します。

Old Compton Street

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仕事でロンドンに滞在している間は、けっこうよく歩く。
ホテルはいつも安い順に並んだリストの中から選ぶので、必然的に色々な地域を歩くことになる。まずはホテルの周辺、そして仕事場の周辺、少し余裕ができるとブルーズバーに行ったりレコード(CDではない)を探しに行ったりする。そしてそのついでに食事をしたりパブで一杯飲んだり。

で、今回紹介するオールド・コンプトン・ストリートは、どちらかと言うと仕事場周辺になる。仕事は映像編集や録音作業なのでどうしてもSOHOになる。圧倒的に編集や録音スタジオが多いからだ。で、この通りはスタジオに行ったり、スタジオからの帰りに通ったり、作業の途中で食事に行くために通ることもある。要するに仕事場周辺の通りというわけだ。

london2oldcompton07.jpgここでまず目につくのはジャージーボーイズの看板。ロンドンでロングランを続けるミュージカルの小屋がある。

そしてここはゲイの多い通りでもある。ジャージーボーイズも実はゲイ向けのミュージカルではないかと思うのだが、知ってる人がいたら教えてください。

なぜならこの小屋の周辺にはゲイのための店がいっぱいあるからだ。SOHOと言えば芸術、芸術と言えばゲイなのだ。(このポスターも4人のボーイズがこっちにお尻を向けている・・・笑)いつか時間ができたらこのミュージカル見てみたいのだが、隣のゲイに手を握られそうで怖い・・・。







(ネットで見つけました。元々ブロードウェイのヒット作でフォーシーズンズの成功物語だとか)
http://www.youtube.com/watch?v=C6XYD8Trk0Y

それはともかくこの通りにはお勧めの店が2軒ある。まずひとつは日本食の草分け「太郎」だ。

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見ての通りTaroの看板は日本人のおっさんの似顔絵だ。この人こそ知る人ぞ知る太郎さん。1978年に熊本からロンドンにやって来た。ロンドンで苦労すること20年、日本食の大衆レストランをオープンしたのが1999年。この通りにあるのは2002年にオープンした2号店。ヨーロッパでの日本食ブームを追い風に、どちらの店も地元ロンドンッ子でいつも賑わっている。

実は、仕事でロンドンに通い始めた頃は、Brewer street にある1号店によく行った。2000年当時、ウィーンではろくな日本食が食べられなかったので、ロンドン出張の時は日本食屋に行くのが楽しみでもあった。太郎1号店ではひとりでカウンターに陣取り、日本人の板前さんにロンドン暮らしのあれこれを聞きながらビールを飲み寿司をつまんだ。

ほろ酔い加減で帰りしなにお勘定をすると、レジにいるのが看板の「太郎さん」だった。特に世間話をする訳でもなかったが、ああこれが看板の似顔絵の・・・とまじまじと顔を見つめたものだ。太郎さんには食事以外にもお世話になった。本屋やレコード屋の場所を聞くと熱心に教えてくれた。寡黙だけどきっと良い人に違いない。

料理はラーメン、カツ丼、天丼、寿司、なんでもある。厨房はまるでAPECの会議場だ。アジア各国の料理人がそろっている。もちろん日本食を作るわけだが・・・
ホームページを見ればもっと色々写真が出ているのでどうぞ。
http://www.tarorestaurants.co.uk/

さて次にこの通りが気に入っている理由。それはロンドン随一の焼き鳥屋の存在だ。
その名もビンチョーという。もちろん備長炭のあのびんちょうだ。

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この写真を撮影した時はあいにくの雨だったが、晴れていて暖かい日なら歩道にもテーブルといすを出している。真っ黒でおしゃれなデザインの入り口を入ると右手にずっと炭焼きのコンロが奥まで続いている。長らく日本を離れていると「おっ」と思わず懐かしくなる作りだ。

席に座ってビールを頼みメニューを見ると、まず目につくのが Seven Samurai という料理。7人のサムライだ(何故か Samrais にはなっていない)。好奇心をそそられて良く読むと、焼き鳥を中心にサーモンやアスパラのベーコン巻きやしいたけ焼きなど7本の串焼きがセットになっている。なるほど、ロンドンでは串焼きもこうしておしゃれなアイテムのひとつになるわけだ。

店のホームページもなかなか凝っているのでぜひ一度見て欲しい。
http://www.bincho.co.uk/deploy_soho/bincho.html

この通りには他にもしゃれたカフェやレストランがたくさんある。
そしてゲイの店がいっぱいある「ゲイ・ストリート」だ。
だがロンドンではゲイは決して怖くない。気がついたら仕事仲間はゲイばかり・・・なんてこともある。

だから「ゲイストリート」ということはすなわち「おしゃれな通り」だと言うことだ。
いつも男女や男男のカップルで賑やかなこの通りの華やいだ雰囲気が、僕は実に気に入っている。

最近一人旅をすることが多くなった。

昔は旅と言えばロケだから、大荷物で最低でも3人連れくらいが相場だった。その当時はエキセス(荷物の超過料金)を航空会社のカウンターでどれだけ値下げ交渉できるかが勝負だったりもした。それは今でも変わらないというか、そういう取材もあるけれど、一人旅の確率も随分増えた。要するに一人で現地に行って、そこでカメラクルーを調達したり、そこに滞在して編集したり・・・。「そこ」は時にはベオグラードだったりサラエボだったり広島だったりロンドンだったりする。

ここ10年ぐらいは仕事の関係で「ロンドン一人旅」が一番多かった。

最初のうちはお決まりの観光コース(ウェストミンスター寺院や大英博物館など)も試してみたが、そういう場所は一回か二回行けば十分だ。それから後は自分の気に入った店や食堂を地図上にマークするようになった。初めそれは地図上の「点」に過ぎなかったが、次第に「線」になっていった。気に入った店の近くには不思議ともう一軒くらい気になる店があったりするものだ。

こうしてだんだん「お気に入りのストリート」が増えていくようになった。
その中のいくつかを紹介していきたい。

まずは一番お気に入りの通りから。

Kingly Street 

キングリー・ストリートはロンドンの銀座通りとも言えるオックスフォード・ストリートの近くにある。
オックスフォード・サーカスからピカデリー・サーカスに向かうリージェント・ストリートと平行に走っている通りだ。リージェント・ストリートにはHamleys(http://www.hamleys.com/)という250年以上の歴史を誇る老舗のおもちゃやさんがあるが、ちょうどその裏手にあたる。

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この通りが気に入っているのは、何と言っても、最高に渋いブルースバーがあるからだ。その名は Ain't nothing but という。ブルースファンならば思わずにやりとしてしまうネーミングだ。Ain't nothing but のあとには blues が来るに決まっているからだ。つまりここは Ain't nothing but blues bar というわけだ。

Ain't nothing but
Kingly street 20
http://www.aintnothinbut.co.uk/

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最初にこのブルースバーに来た時は住所を見ながらたどり着いた。エイミー・ワインハウスもしょっちゅう来ていたという有名な店だ。そこで観たのは Rollo Markee という白人ブルースマン。ブルースハープとボーカル、それにギター、ドラムス、なんと今時ウッドベース!という編成でいい味を出していた。好きな人はどうぞ。
http://www.youtube.com/watch?v=_6wPM1DJulM

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そして次のお勧めは隣のラーメン屋だ。ラーメン瀬戸という店。

Ramen Seto
Kingly Street 19
http://www.london-eating.co.uk/3074.htm

パリと違ってロンドンにはラーメン屋通りなどはない。各地に点在するラーメン屋の位置は大体頭に入っているが(笑)ここはその中でもダントツに美味いのだ。ラーメンだけでなく餃子や中華丼やカツカレーもすこぶる美味しい。実は以前から仕事の合間に昼食をとりにこの店にはよく来たものだ。だがその頃は隣にこんなイカすブルースバーがあるとは知らなかった。ブルースバーに行くようになって初めて「あれ?ここはこのラーメン屋の隣だったのか?」と気がついた。点が線になった瞬間だった。

そして二つの店が隣り合っていることに気がついたその日から、
僕はこの通りが大好きになった。

キングリー・ストリートには他にも有名なパブや焼き肉やもあります。
皆さんもロンドンにいらっしゃる時はぜひ行ってみてください!

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ウィーンから冬の東京に到着して5日目。荻大ノート新年会に出かける前に食事に出かけた。
今回の宿泊地は浅草。厩橋(うまやばし)という橋の近くで都営地下鉄の蔵前駅に近い。

隅田川のゆったりとした流れ。係留された屋形船。首都高速とスカイツリーをのぞけば実に風情のある風景だ。
それにしても噂のスカイツリーはまるで旧東ベルリンのテレビ塔を思わせる構造物で、なにやら情報化社会の「ビッグブラザー」を思わせるような、にらみをきかせているような、そんな印象だ。

蔵前には土地カンは全く無いので、適当な食堂を探して歩いた。
まもなくちょっと変わったネーミングの店があったので興味を引かれて入ってみた。
その名は「肉屋の正直な食堂」。入ってみて驚いた。
中はまるで牛丼の吉野やのようなつくり。コの字型に作られた客席に16席がある。
牛丼やと違うのはすべての座席の前にホーットプレートが置かれていること。
そしてもう一つ小さな砂時計が置いてある。

自販機で500円の定食を選んだ。チキンのグリルだ。
フロア担当の若い中国人女性が、たどたどしい日本語で注文を確認し奥へ。
奥にはやはり女性が野菜や肉を切っている。ふたりとも洋食屋のコックのような白い上着と白い帽子。
店内は古いポスターや骨董品で飾ってある。「懐かしい洋食屋」のイメージだ。

やがて注文の品が運ばれてきた。
なんとフライパンにぶつ切りのチキンの生肉ともやしや人参の野菜が積み上げられている。
続いてご飯とみそ汁と小さなサラダがトレーに乗って届けられた。
フロア担当の女性がでっかい胡椒挽きで胡椒を追加してくれる。
そしてホットプレートのスイッチを入れ砂時計をひっくり返してこう言った。
「この砂が全部落ちたら肉をひっくり返してください」

なるほど。すべてがマニュアル化されている。
ふと見ると手元にA4版のカードがあり、注文した料理によって肉をひっくり返すタイミングが書かれていた。
ご飯はお変わり自由。目の前で肉がジュウジュウと焼け始め、野菜から水分が出てよい香りがしてくる。
みそ汁、サラダ、ごはんをつつきながら、目の前で肉が焼けてくるのを待つ時間が不思議と心をいやす。
これはなかなか良いアイデアだなあ、と感心した。
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熱々のチキンをほおばりながら「それにしてもこれで500円は安い」と考えた。
そしてはっと気づいた。つまり、ここでは客が調理をやらされている。
そういう意味ではお好み焼きと同じで、自分で焼く、目の前で焼けるスペクタクル感が魅力でもあるのだが、
一方で店にはコックが必要ない。いるのは下ごしらえをする女性とフロア担当の2人だけ。
これでは人件費もかかるまい。

周りを見ると若いカップルや鳶職の男性二人組が「おお」「これは良いなあ」「お変わり自由だ」と喜んでいる。
客に料理をさせて喜ばせるとは!この仕組みを考えだした人は天才かもしれない。
この店は皆さんにもおススメできると思います。

後日この店のホームページを見つけた。フランチャイズで展開中だ。
ホームページのメインのコンテンツはなんとフランチャイズ店オーナーの募集だった。
つまり「客が自分で料理する店」を「自分で出資して稼いでくれるオーナー」に経営させようとしている。
どこまでも人に金を払わせ仕事をさせて売り上げようとする。やはりこれは天才の所業かもしれない。

肉屋の正直な食堂(http://e-808.com/nikuya/)

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